漫画「堕ちる」は菊池直恵先生が描く作品。売春婦でありながら検察官といった顔を持つヒロイン・佐藤正美の死まで過程が描かれていくヒューマンドラマ作品となります。
素朴に出てくる疑問…
何故、検察官といったエリート女性が売春をしていたのか…死に際はどういった状況だったのか…。彼女を形成する過去から時系列で売春婦になるまで…そして佐藤正美の最後が描かれていきます。
父親との禁断の関係が生み出した彼女の中の蠢き…。エリート女性の中で一体何が起こっていたのか…人間心理や人間描写を描くヒューマンドラマ好きは要チェックな漫画です!
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堕ちるってどんな漫画?
前述したようにヒロインである佐藤正美といった女性の半生が描かれていく作品。正美は法を扱う検察官でありながら法を犯す売春婦でもあります。
そんな彼女が出来上がるまでの過程を11年前、8年前、現在といった形式でターニングポイントを描いていく内容。
1冊のボリュームは約40ページ弱。価格は1冊150円(税別)の全3巻で完結する作品。内容的には一般的な漫画ボリュームである150ページ〜200ページ程度で数巻から数十巻に及んで連載しても良いと思える作品。
いわば彼女の『死』までを追っていくダイジェスト版のような構成になっていますがテンポも良く、重要ポイントは掴んでいるので多少ボリュームが少なくても充分に人間ドラマを楽しめる作品です。
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漫画「堕ちる」ネタバレ
高校での暗躍と父との禁断関係
第1巻では佐藤正美の現在から11年前のエピソード。彼女がまだ高校生時代の様子が描かれていきます。
ガリ勉地味女であった正美。
彼女は「はるか」といった女性から虐めを受けていました。はるかはヒエラルキー頂点に君臨する今で言えばキラキラ系女子。顔も良ければ成績も学年1位。極めつけは彼氏もイケメン。
そんな彼女が正美を虐める理由は転校してきた正美に学年成績1位の座を奪われたから…。嫉妬ですね。しかし、はるかは彼氏とのイザコザによって一気にヒエラルキー頂点から崩れ落ちていく事に…。
このはるかのイケメン彼氏を裏で操っていたのが何を隠そう正美だったのです。普段は眼鏡をかけたガリ勉地味女ですが眼鏡を外すと豹変。体で男を誘惑して手の平の上で転がす小悪魔のような女だったのです。
そして彼女を作りあげた原因となる出来事が明かされていきます。
それは検察官である父親との禁断の関係。二人は毎週木曜日になると出掛ける母親の目を盗んで愛し合っていたのです。そして正美にとって唯一愛する男性が父親。この事が後に歪んだ佐藤正美を作り上げていきます。
父親の死…悪魔の囁きによって彼女は売春婦へ…
2巻では現在より8年前。正美が大学時代の出来事が語られていきます。ここから事態は急展開。大学へ進学して間もなく父親が事故で死亡する事態へ。
世の中で唯一愛する男性が居なくなり、心に穴があく正美。追い打ちをかけるように母親も『秘密』を明かしていきます。
それは不倫をしていた事。正美と夫が近親相姦の関係であった事も以前から知っていたのです。母親は正美の事を以前から気持ち悪がっており、父親が他界した事で一緒に住む理由はなくなったと告げて決別へ。
ここから彼女は一人暮らしを始め、人生の目標でもあった父親のような立派な検察官となる為、猛勉強に励んでいきます。
しかし、突如勉強に集中できず彼女の中に正体不明の蠢きが生まれる事態へ。これは父親に愛されたい…シタい…といった感情。体が火照り、悶々とした状態になってしまう正美。
正美はそんな時に声をかけてきた同じ大学の松岡といった男性を誘惑して関係を持ちますが、彼女の中にある蠢きは若造に鎮める事はできず彼女の欲求はさらに高まっていくばかり…。
そして辿り着いたのが父親似の女を求める男性と関係を持ち、蠢きを鎮める事でした。
しかし、法を扱う仕事を目指す人間が売春…彼女の中で葛藤が生まれていきます。リミットを解除するキッカケになったのが母親との決別時に耳元で囁かれた言葉…。
『バレなければ大丈夫だから…』
罪は公にならなければ罰せられる事はない…。彼女の中で張り詰めていた糸がプッツリと遮断。売春婦としての顔を持つ佐藤正美がここで誕生。一度は取り逃がした女を求める父親似の男性を再び追いかけて誘惑していきます。
淡くも満たされる最後へ…
3巻となる完結巻では現在から死に至るまでの過程が描かれていきます。正美は司法試験に合格。検察官となって職務を全うしていました。ただ、毎週木曜日は退勤後に夜の繁華街へ繰り出し売春を繰り返す日々。
蠢きを何とか鎮めていた正美でしたが、それは日を増すごとに確実に大きくなっていきます。
膨らんでいく蠢きは仕事に支障をきたしそうな程、彼女の中で大きくなっていく事態。そんな時に同じく検察官である小倉といった一回り以上、歳の離れた男性から結婚を前提とした交際の申し込みが…。
職業も父親と同じで彼を父とシンクロさせていく正美。自分の蠢きを鎮める事ができるのは父親と同じ検察官なのかも知れない…根拠はありませんが蠢きを鎮める手段として期待をする正美。
ただ、いきなり誘惑して体を重ね合わせるのは印象も悪かった為、この日は交際の検討を前向きにするとだけ伝えて、夜の繁華街へ。
そして彼女は最後を迎えていく事に。
この日、相手にした男性…。
どこかで聞き覚えのあるセリフを発します。思い出した正美は相手をしている男性が検察官である事に気づきます。小倉ではなくとも父親と同じ検察官の男性。それがわかった事で彼女の中で蠢きが静まっていく事を感じていきます。
ようやく自分の蠢きを鎮める事ができる男性の種類を掴んだ正美でしたが…。相手の男性は正美の首を締めてつけていきます。そして正美は死亡。
最後は大学時代、相手にした松岡が警察として登場したり、正美を殺した検察官の人間描写があって漫画「堕ちる」は幕を閉じていきます。
漫画「堕ちる」感想
最初から最後までヒロインである佐藤正美が『堕ちる』までが丁寧に描かれていく作品。人間心理や描写が圧倒的に面白い漫画です。
サクサクと読み進める事ができ、シリアスな本格ヒューマンドラマが堪能できる作品。
検察官でありながら売春婦といった異色の経歴を持つ女性の人生が気になる方は是非、チェックしてみてください☆彡
管理人
これは本当に面白かった!
ヒロインの中にある闇に溺れていき、儚い最後を迎えるのも秀逸。エリート女性の闇落ち人間ドラマを手軽にサクッと楽しみたい方は本当にお勧め!
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